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「音楽における女性」宣言、ローマ、2000年9月。1996年、ラツィオ州フィウッジにて開かれた第一回国際シンポジウム「ドンネ・イン・ムジカ (音楽における女性)」には世界26カ国から女性音楽家(作曲家、演奏者、指揮者、音楽研究者、オーガナイザー)が集まり、後に「1996年フィウッジ宣言」の名で知られることとなる文書に署名した。世界中の女性による音楽組織、そして学界に瞬く間に知れ渡ったこの宣言は、女性音楽家たちがその活動において何を重要な目的としているか、世界に提示した。 1999年に宣言は改訂され、2000年9月、ローマにおいて同財団国際名誉委員会によって満場一致で受理された。以下はその内容である。 · 各国は、自国内の女性作曲家に関する、記録と情報を管理、収集することを目的とした組織の立ち上げを奨励することが求められている。各組織には音楽における女性に関する情報を他の組織と交換すること、そして音樂の創造、促進、演目構成に影響力をもつと思われる社会制度や、音楽機構についての情報を収集することが望まれる。それは例えば、古代から現代にわたっての音楽祭、女性音楽家にのみ捧げられた音樂祭、財団への資金提供の可能性、奨学金制度等についての情報の収集が挙げられるだろう。女性音学家たちには、オーケストラなどにおける現在の演奏レパートリーを増やしていくために、演目構成、音楽の促進、コミッションキャンペーンといった諸々の活動において、より大きな役割を担うことが望まれる。また女性音楽家は、それぞれの国の音樂組識でより重要な地位につき、作曲家と演奏家との交流を推進していくべきである。各組織の連携は、インターネットによって可能となるだろう。 · ほとんどの国々において法は機会平等と権利を女性に保証しており、理論上はすべての興味のある分野への道は開かれているとされる。しかしながら、現実においては多くの場合それは当て嵌まらない。よって「音楽における女性」組織は、自国の社会現実が、既存の法に従っているかどうか、確認するべきである。ほとんどの国々では、女性は制度上のレベルにおいて十分に表象されているとは言えない。そこで私たちは、委員会など女性がその才能を生かせるすべての場所で、その存在を積極的に世に知らしめていかねばならない。女性政治家においては、法と現実の間の差を認め、女性音楽家たちに代わってその権利を主張し、資金提供の可能性を開いていくべきである。 o 音楽における女性に関する情報や知識は、世界中の音楽教師に伝えられていかなければならない。あらゆる文化においても、女性音楽家の果たしてきた音楽への貢献は、学校や大学の音楽授業の一部となるべきである。また両親は、娘と息子両方の文化的遺産と伝統を尊重しつつも、区別することなくその音楽的才能を育んでいく必要がある。 o 女性音楽家には、1998年、ストックホルムにおいて提出された、文化政策に関する政府間協議の最終合意文書であり、芸術家の権利に関する優れた文書として知られているユネスコ文書を読み、その精神を心に刻み、活用していくことを奨励する。 · あらゆるレベルにおける文化政策の枠組み作りと、その実施へ参加していくこと。文化の領域で、意思決定の権利を持つポジションを得ること。我々の望みが保証される為には、女性が文化の発展に果たしてきた業績が正しく認識されることが必要である。すべての共同体において女性芸術家の持つ、表現に関わる諸権利が、促進され、維持され、そして保護されていくことが、重要である。この方法でのみ私たちは、時代遅れとなりつつある、単一的な男性的視点の文化と伝統を乗り越え、新たな視点を獲得することができるのである。 · 我々が果たそうとしている、有形無形の文化遺産の次世代への伝達という役割は、単なる民族や文化だけではなく、人類全体への寄与を目指したものであり、その重要性は、見落とされてよいものではない。 |